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それでも続く僕らの日々に

患者

今週の朝日新聞「患者を生きる」
月曜から金曜の連載は良かった。



アルコール

入社半年で退職すると、アルコール依存症になるまでに時間はかからなかった。マンションの部屋にこもり、部屋着のままひたすら焼酎を飲み続けた。ストレートで飲み、ほとんど何も食べなかった。当時の記憶はあまりない。酒がなくなると、不審に思われない程度の服装に着替え、近所のコンビニエンスストアへ行った。750ミリリットルの焼酎を1日に1本以上空けていた。


依存症

 断片的に覚えている退職後の出来事がある。ホテルのロビーで見知らぬ男性2人と向き合い、上司らしい男性が「治療費は負担しますが、あなたは働いておられないので休業補償は出せません」と言っている。どうやら、車かバイクと衝突してけがをしたようだ。その時の傷と思われる縫った痕があごにあるが、なぜ深酔いして外出したのか、どんな事故だったのか、記憶も記録も残っていない。


克服した女性の声

平日のアカウントと、休日のアカウント。

仕事で24時間使い、脳の中まで染まり、筋肉がこわばるほど、凝り固まる。

週末に力尽きて倒れ、アカウントを変えると、忘れていたものが、見えてきた。

そこに帰りたいと思いながら、週が明けると、また仕事のアカウントに。

スマホのアプリほど簡単には、切り替えられないまま。

自業自得地獄

別に、好きだったわけでも、何でもない。
淋しさを紛らわす何かが欲しかっただけ。

あの時、あなたに言われた、あの言葉が、
今も、自分の心を、縛りつづけている。

と言われてから、言葉が、出てこない。

自業自得の地獄の中に、落ちていくだけ。

言葉、言葉、言葉

言葉、
「Number」2016年8月10日発売号の編集後記

拝啓 清原和博

1985年の夏、高校一年の私は父のクルマの中で編入試験の合格発表を待っていました。ラジオからPL対宇部商の中継が流れています。

「ここでキヨハラが打ったら、俺も受かる……」。

次の瞬間、あなたはホームランを打ちました。甲子園はキヨハラのためにあるのか。

次の打席も、あなたはホームランを打ちました。以来、あなたのホームランに、一体どれだけ励まされつづけたことか。

今回、PL時代にあなたが甲子園で打った13本のホームラン、その対戦相手すべてに話を聞きました。みな、あなたと真剣勝負をした記憶と、あなたと同世代に生きたことを誇りにしておられました。あなたが野球に帰ってくるためにできることはないか考えておりました。

この特集記事は、あなたに励まされつづけた私たちからのプレゼントです。

あなたが、再び小誌の誌面に登場する日が来ることを私は信じています。

昼と夜の間に

昼のような夜、眠ることもできず、
夜のような昼、動きをしばられて、
前にも、後ろにも進めない毎日に。
進めない事で、迷惑をかけている。

4日、谷川直子さんのインタビューが朝日新聞に。

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去年、毎日新聞に載った記事もよかった。

 遅れて来た新人だ。社会のゆがみをユーモラスにえぐる小説が注目を集め、今秋には4作目となる『世界一ありふれた答え』(河出書房新社)が刊行された。現代病の代表格と言えるうつ病を真っ正面から描く。憎しみと混乱を経た主人公が、息を詰めるように踏み込む地平は、読者の感動を呼ぶことだろう。

 まゆこは25歳で結婚した。塾講師だった夫に市議会議員への出馬を勧め、3回当選。市長の座を目指して奮闘していたが、夫は若い女性に走った。離婚を余儀なくされて今40歳。泣き、食欲はなく眠れない。うつ病である。クリニックで頼子先生のカウンセリングを受けている。

 「私の実体験が大きいんです」。谷川さんは25歳で作家の高橋源一郎さんと結婚して40歳で離婚。雑誌の編集者を経て競馬のエッセーを書くなど活躍していたがうつ病になり、1年にわたって認知行動療法を受けた。「自分は外の世界を変えられない。じゃあ自分の立ち位置をずらしてみましょうとカウンセリングで言われました。私は文学少女だったのに、自分以外の人の苦しみに気づかなかった。他人に共感していなかったと知る経験はすごくショックでした」

 カフェでまゆこに声をかけるのは30歳の著名なピアニストのトキオ。ピアノを弾くときだけ指が動かない病にかかり、やはりうつに苦しんでいる。ドビュッシーの「アラベスク」のけいこをつけることでまゆこを支配しようとする。まゆこは鍵盤を指で打つ。音が鳴る。観念ではなく身体が物語を推進する。

 主な舞台は両者の自宅と頼子先生のクリニックだけ。「うつ病をなまけ病だとわらう視線が世にある中、(面白おかしいストーリーに走らずに)カウンセリングのダイナミックさを描きたかった。ユーモアも封印しました」。きちんと料理されていない“生”の文体は文学では否定的に捉えられがちだが、あえて言葉に遊びを許さなかった。

 まゆこは薄紙をはぐように自分へのこだわりを捨てる。ある母娘の受難に手を差し伸べることで<頭が自分以外のことで回り始める>。再生へのスイッチが入る。まゆこを縛っていたのは何だったのか? 「個性が大事だと声高に叫ぶ世の中に疑問を投げかけたかったのです」

 谷川さんは45歳で大学の同級生と再婚し、現在は長崎県五島市に住む。読む人を幸せにする小説を書こうと試行錯誤し、52歳で新人の登竜門「文芸賞」に輝いた。「都市部では消費文化の幻想から逃れられませんが、五島では消費の先に何を生むべきかを考える。それが私の小説です」。初めて五島が舞台の次作を既に執筆中。気鋭の筆は走り続ける。【鶴谷真】


世界一ありふれた答え

世界一ありふれた答え


ダメな事は何もない。
やり直すことが遅いなんてこともない。


ただ、ただ、暗闇から手を伸ばす、
その力さえあれば。

明日

苦しい
心臓がずっとどきどきとしている
悪い予感がする
それが何か分からないけれど
とても悪い予感がして
怖くて怖くて苦しい
何があるわけでもないが
不安で不安で
何も手につかない
何も眼に入らない
眠れば死ぬ夢で、大事故の夢で、
毎晩目を覚ます
ここから抜け出したいけれど
その術もない
不安で苦しくて、苦しい
この不安はなにか

元日

助けて
と、一言だけ書く。
元日に。

誰かの声として、
自分の声として。

ありがとう
と、同時に書く。

ここまで助けてくれた誰かに。
誰かの誰かに、
自分の誰かに。

そして我に返る。
立ち止まる。
生きていく。

誰かのために。