radio station

それでも続く僕らの日々に

自業自得地獄

別に、好きだったわけでも、何でもない。
淋しさを紛らわす何かが欲しかっただけ。

あの時、あなたに言われた、あの言葉が、
今も、自分の心を、縛りつづけている。

と言われてから、言葉が、出てこない。

自業自得の地獄の中に、落ちていくだけ。

言葉、言葉、言葉

言葉、
「Number」2016年8月10日発売号の編集後記

拝啓 清原和博

1985年の夏、高校一年の私は父のクルマの中で編入試験の合格発表を待っていました。ラジオからPL対宇部商の中継が流れています。

「ここでキヨハラが打ったら、俺も受かる……」。

次の瞬間、あなたはホームランを打ちました。甲子園はキヨハラのためにあるのか。

次の打席も、あなたはホームランを打ちました。以来、あなたのホームランに、一体どれだけ励まされつづけたことか。

今回、PL時代にあなたが甲子園で打った13本のホームラン、その対戦相手すべてに話を聞きました。みな、あなたと真剣勝負をした記憶と、あなたと同世代に生きたことを誇りにしておられました。あなたが野球に帰ってくるためにできることはないか考えておりました。

この特集記事は、あなたに励まされつづけた私たちからのプレゼントです。

あなたが、再び小誌の誌面に登場する日が来ることを私は信じています。

生きているということは

毎年この日にやること。
震災の被災地の成人の言葉を見つめること。

「自然豊かな飯舘村は私たちの人生の根幹をつくった、ふるさとであり原点。復興に尽力してくださる方々に感謝します」。福島市に避難する宮城教育大2年の松下圭太さん(20)が出席した新成人61人を代表し、誓いの言葉を述べた。
(朝日)

http://www.asahi.com/sp/articles/ASK185HX1K18UGTB009.html

栃木県で1人暮らしをしている松田歩美さん(20)は自治医大の学生で、卒業後は看護の仕事に就くのが夢という。「村の人が避難先から戻るために医療は絶対に必要。私もできるだけ近くに住み、お世話になった村に恩返ししたい」と力を込めた。
(毎日)

http://mainichi.jp/articles/20170109/ddl/k07/040/015000c

いわゆる「荒れる」成人式とのギャップ。
荒れるのは、甘えだ。
そして思う。
自分の甘えを。
何かに、様々な偶然に、今、生かされているということ。
その分、生きていかなければいけないということ。

永六輔さんの詩が浮かぶ。

生きているということは
誰かに借りをつくること
生きていくということは
その借りを返してゆくこと
誰かに借りたら誰かに返そう
誰かにそうして貰ったように
誰かにそうしてあげよう

六輔その世界

六輔その世界

昼と夜の間に

昼のような夜、眠ることもできず、
夜のような昼、動きをしばられて、
前にも、後ろにも進めない毎日に。
進めない事で、迷惑をかけている。

4日、谷川直子さんのインタビューが朝日新聞に。

f:id:radiostation:20170108215844p:plain


去年、毎日新聞に載った記事もよかった。

 遅れて来た新人だ。社会のゆがみをユーモラスにえぐる小説が注目を集め、今秋には4作目となる『世界一ありふれた答え』(河出書房新社)が刊行された。現代病の代表格と言えるうつ病を真っ正面から描く。憎しみと混乱を経た主人公が、息を詰めるように踏み込む地平は、読者の感動を呼ぶことだろう。

 まゆこは25歳で結婚した。塾講師だった夫に市議会議員への出馬を勧め、3回当選。市長の座を目指して奮闘していたが、夫は若い女性に走った。離婚を余儀なくされて今40歳。泣き、食欲はなく眠れない。うつ病である。クリニックで頼子先生のカウンセリングを受けている。

 「私の実体験が大きいんです」。谷川さんは25歳で作家の高橋源一郎さんと結婚して40歳で離婚。雑誌の編集者を経て競馬のエッセーを書くなど活躍していたがうつ病になり、1年にわたって認知行動療法を受けた。「自分は外の世界を変えられない。じゃあ自分の立ち位置をずらしてみましょうとカウンセリングで言われました。私は文学少女だったのに、自分以外の人の苦しみに気づかなかった。他人に共感していなかったと知る経験はすごくショックでした」

 カフェでまゆこに声をかけるのは30歳の著名なピアニストのトキオ。ピアノを弾くときだけ指が動かない病にかかり、やはりうつに苦しんでいる。ドビュッシーの「アラベスク」のけいこをつけることでまゆこを支配しようとする。まゆこは鍵盤を指で打つ。音が鳴る。観念ではなく身体が物語を推進する。

 主な舞台は両者の自宅と頼子先生のクリニックだけ。「うつ病をなまけ病だとわらう視線が世にある中、(面白おかしいストーリーに走らずに)カウンセリングのダイナミックさを描きたかった。ユーモアも封印しました」。きちんと料理されていない“生”の文体は文学では否定的に捉えられがちだが、あえて言葉に遊びを許さなかった。

 まゆこは薄紙をはぐように自分へのこだわりを捨てる。ある母娘の受難に手を差し伸べることで<頭が自分以外のことで回り始める>。再生へのスイッチが入る。まゆこを縛っていたのは何だったのか? 「個性が大事だと声高に叫ぶ世の中に疑問を投げかけたかったのです」

 谷川さんは45歳で大学の同級生と再婚し、現在は長崎県五島市に住む。読む人を幸せにする小説を書こうと試行錯誤し、52歳で新人の登竜門「文芸賞」に輝いた。「都市部では消費文化の幻想から逃れられませんが、五島では消費の先に何を生むべきかを考える。それが私の小説です」。初めて五島が舞台の次作を既に執筆中。気鋭の筆は走り続ける。【鶴谷真】


世界一ありふれた答え

世界一ありふれた答え


ダメな事は何もない。
やり直すことが遅いなんてこともない。


ただ、ただ、暗闇から手を伸ばす、
その力さえあれば。

明日

苦しい
心臓がずっとどきどきとしている
悪い予感がする
それが何か分からないけれど
とても悪い予感がして
怖くて怖くて苦しい
何があるわけでもないが
不安で不安で
何も手につかない
何も眼に入らない
眠れば死ぬ夢で、大事故の夢で、
毎晩目を覚ます
ここから抜け出したいけれど
その術もない
不安で苦しくて、苦しい
この不安はなにか

たこ

本は、いいな。
言葉は、いいな。

休みなので、肩肘張らず、柔らかく。

読みながら、自分の手を見る。
右手、人差し指に、
かすかに残る、ペンだこの痕。

複雑な思いで、見ている。
言葉から遠く離れた、その距離に。

元日

助けて
と、一言だけ書く。
元日に。

誰かの声として、
自分の声として。

ありがとう
と、同時に書く。

ここまで助けてくれた誰かに。
誰かの誰かに、
自分の誰かに。

そして我に返る。
立ち止まる。
生きていく。

誰かのために。